本條流俚奏楽 演奏会  平成17年8月11日 国立劇場大劇場
本條流俚奏楽 演奏会 平成17年8月11日 国立劇場大劇場
 

三味線演奏家本條秀太郎は、邦楽器を使った現代音楽の作曲活動、民族音楽とのコラボレーションを積極的に行い、古典の枠に留まらず、様々なジャンルの音楽、奏者と共演し、数多くの国内外公演を行っております。

今回の演奏会では、古典、民族音楽を土台とした「俚奏楽」を発表させていただきました。俚奏楽は本條流の流儀曲で、三味線音楽の源流を実践的に発展させ、現代的解釈と創造を加えた独自の音楽です。 三味線音楽成立期に民衆が持っていたエネルギーやバイタリティを取り戻し、活力溢れる瑞々しい音楽を求め、民族音楽としての日本歌謡の新たな創造を目指しております。

今回発表いたしました俚奏楽の曲目、「藍と紅と」では、藤間勘十郎の振付で、人間国宝、中村雀右衛門が重厚な舞を披露いたしました。また、「俊寛」の舞台美術は、「動く芸術」で有名な造形作家、伊藤隆道が担当、「俚奏楽」を演出いたしました。


日 時: 平成17年8月11日(木)
会 場: 国立劇場大劇場 (東京都千代田区隼町4-1)

〔特別出演〕 中村雀右衛門(人間国宝) 

〔曲目〕 俚奏楽: 藍と紅と / 雪の山中 / 寿吉原俄 / 俊寛 他

主 催: 本條流家元 本條秀太郎
後 援: 財団法人日本民謡協会 
日本民族歌謡継承発展協会 
本條流 
本條会
制 作: 株式会社 傳燈樂舎



本條流俚奏楽 演奏会 平成17年8月11日 国立劇場大劇場にて

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長唄 杜若に寄す  
「長唄 杜若に寄す」
在原業平は愛人を京へ残し、心ならずも東下りの旅に出ます。
三河の国八つ橋の水面に映る杜若に心をひかれ、あかず眺めているうちに、幻想の世界に誘われ、杜若の精が、その人の優しい面影となって現れてまいります。
一夜の愛の陶酔。しかし夜明けとともに、杜若の精は消え失せ、求めても求め得られぬ、憧れと孤独が、業平の心の寂しさを濃くします。 杜若に寄せて業平の心を通し、遠い昔も今も、又未来も変わらない憧れと孤独の愛の姿を長唄の曲に描いたものです。師匠稀音家芳枝の作品が私の心の奥底で響いています。「俚奏楽」の原点なのだと確信してます。この度は、東音宮田哲男先生、師匠が尊敬されてました稀音家康先生のご出演をいただき「杜若に寄す」を演奏していただきました。・・・本條秀太郎
俚奏楽 寿吉原俄 俚奏楽 寿吉原俄
「俚奏楽 寿吉原俄」
八月朔日は八朔といい、仲之町を道中する遊女は白無垢を着た。九郎助稲荷の祭礼の折の“ねりもの”が俄の始まりと云われ八月一日から三十日間晴天に限り行われていた。俄は桜、玉菊灯篭とともに吉原で最も華やかな年中行事。弦歌さざめき、紅灯がゆれ、白粉の香ただよう艶冶な世界。色めき暮れなずむ廓の情緒。最も俄らしい華やいだ手古舞、“俄の獅子舞”を遊客とのやりとりに見立てます。稲荷づくしで心うきうき、浮かれがらすの廓風情をうたいます。「俄の獅子」は二人獅子、扇獅子そして手獅子といろいろな説がある。
舞踊俚奏楽 雨の月 舞踊俚奏楽 雨の月
「舞踊俚奏楽 雨の月」
故郷水郷潮来は水辺にある穏かなうつろいの中にあります。葦の葉陰に隠れてひっそりと咲く、菖蒲草。月が霞んで、その存在だけを感じ取れる、“雨の月”から滴り生まれた作品。“おけさ”の旋律と時折聞こえくるニ胡の響きが作品を身近なものにしている。1988年作曲 初演時はバイオリン奏者の篠崎正嗣が二胡を演奏。
俚奏楽 俊寛
「俚奏楽 俊寛」
(財)日本舞踊振興財団の委嘱で1998年作曲。録音された音楽とのコラボレーションを意識して作られています。現代人は溢れ出る音世界に生きています。そのような環境の中から創作された現代の邦楽として発表。録音された音源もアコースティックな楽器と考えた。この作品は削ぎ落とされた日本舞踊表現「素踊り」を念頭に互いに紡ぎ出される空間を意識した作品。また幸にもアメリカ公演という機会に恵まれ、次世代の邦楽、日本舞踊の“すがた”としてこのような演奏形態も考えられるのではと思われます。 国立劇場での凱旋公演、NHK「芸能花舞台」での放送、ドイツ公演。新作がこのように再演の機会を得るのは稀有なことなのです。感謝。今公演では唄・三味線/本條秀太郎、三味線/本條秀五郎、笛/望月太八、小鼓/堅田喜三久(人間国宝)による音楽の演奏のみの発表ですが、伊藤隆道先生の美術造形との対話で表現します。
琉球古典舞踊の為の 琉球舞踊俚奏楽 関寺小町  
「琉球古典舞踊の為の 琉球舞踊俚奏楽 関寺小町」
老小町の美しさは「しぼめる花の色無うて匂ひ残れる風情」と兼好法師のたたえる、華やかで、あでやかな花と重ね合わせたところに感得できるのです。
三味線と篠笛の為の 俚奏楽 月の舟  
「三味線と篠笛の為の 俚奏楽 月の舟」
雪月花、花鳥風月 どちらも美しい自然の趣を賞でる日本独特のことばです。月と花。月は、秋の月をよしとする。幻想の宿る“月”袖振草の異名のある“薄の湖”を“色なき風”が渡ります。月光菩薩の御手の先よりこぼれる“笛の声” この「月の舟」は2001年、西川流、西川右近作舞、鴨下信一作 名古屋をどり「新 とりかえばや物語」から生まれた作品。篠笛奏者 望月太八の委嘱により演奏曲とした。
俚奏楽 雪の山中  
「俚奏楽 雪の山中」
雪の声が闇に聞こえる雪の降る夜。雪は音もなく降り、雪明りに人の営みを映し出します。石川県江沼郡山中町に伝わる地方唄に「山中節」“送りましょうか 送られましょか”とこの土地の湯女の厚い人情と思いを感じ取る事が出来ます。それに旋律の美しさである。江戸時代に松尾芭蕉も長逗留をしたという古い湯の郷の持つ“縁結び”の“不思議の力”を感じるのです。この美しい地方唄の持つ旋律を、現代に生まれた日本音楽のひとつの“流れ”三味線音楽「俚奏楽」として発表。1969年作曲
舞踊俚奏楽 藍と紅と  
「舞踊俚奏楽 藍と紅と」
川仕事(布晒職人)の若者が川遊びに来た少女と恋仲になり、逢瀬を重ねて末を契る。その秋、嵐で川が増水し、晒している布が流れそうになる。それを防ごうとして奔流の中に飛びこんだ若者は、流れに巻かれて帰らぬ人となった……。前引き「置き唄」として“平句歌”(ひらくうた 広島県に残る)で始まり、「直り」として“舟唄”そして「口説き」に“小唄がかり”として“細り”吉原惣まくりから、その曲節は絶えたとされていたが山梨県の道志に残されていました。「長唄がかり」で劇的に川水とのせめぎあいを描き、“大怒佐”より“投節”で女心を切々とうたいます。どこからともなく聞こえてくる“里唄”「散らし」に“弄斎”地歌長歌物終歌より。1981年、「糸糸竹之戯言」しちくのたわごと(復元と発展)十七世紀市民社会の歌、甦る湖底のうた“小河内鹿島踊”1982年民族音楽源流考(歌謡に影響を与えた三味線の役割)の研究演奏会によって生まれた作品です。